株式会社モザイクワーク(本社:東京都港区、代表取締役社長:杉浦二郎)は、2024年3月卒業の就職活動が終了した(主に新潟にある大学、短期大学、専門学校で学ぶ)学生を対象に、就職活動に関する調査を実施した(調査期間:2024年1月〜3月、有効回答数:205人)。

1.新潟県の学生の41%は「1〜3社」のエントリーで就職活動を終了

「エントリーした企業はいくつくらいありましたか?」の質問に対して、41%の学生が「1-3社」、23%の学生が「4-6社」、17%の学生が「7-10社」と回答。2023年卒者よりも「1-3社」の割合が増加し、さらにエントリー数が少ない傾向となった。20社、30社と多くの企業へエントリーして就職活動を行う学生は少数派となり、多くの学生の行動量は減少傾向にあることがわかった。一方で、エントリー社数は減少傾向だが、就職先への満足度は概ね高水準。学生は、自分自身で納得した企業へ厳選してエントリー・選考を受けていると考えられる。

2.エントリー数は少ないが、42%の学生が複数の内定を獲得

2023年卒者と同様に、2社以上から内定を獲得した学生が4割越えと、エントリー数の少なさに関わらず、多くの学生が複数内定を獲得していることがわかった。企業としては、内定辞退が発生する可能性があるため、内定後も学生へのフォローが求められる。

3.3年生12月までに就職活動を開始する学生が過半数

新潟県内の学生はエントリー数こそ少ないが、3年生12月(2024年卒者の場合、2022年12月)までに56%の学生が就職活動をスタートし、インターンシップや合同企業説明会等のイベントに参加している。また全国的な早期化のトレンドと同じく3月以前に面接を受け、内定獲得まで至っている学生も確認できた。企業は早期段階から学生と接点を持つための機会を計画・準備しておくことが、採用につなげるための一つのポイントになると考えられる。

■調査概要

調査対象:2024年3月卒業の(主に新潟にある大学、短期大学、専門学校で学んだ)学生/回答者数:205人/調査方法:インターネットによるアンケート/調査期間:2024年1月~ 3月

レポート内の数値は、四捨五入しているため合計が100%とならない場合がある。

1.エントリーした企業はいくつくらいありましたか。

 23卒24卒
1~3社38%41%
4~6社23%23%
7~10社16%17%
11~15社11%11%
16社以上11%8%

新潟の学生はエントリー数が少ない結果となった。エントリー数が1〜3社の学生が41%と、前年の38%から増加した。また、「エントリー数が10社以下」という学生が81%を占めるなど、選考を受ける企業を厳選して就職活動を進めていることがわかった。企業は学生からのエントリー・応募を得るために、企業から学生に対して積極的に情報を届ける施策が必要となっている。一方でエントリー数は少ないが、後述する「就職先への満足度」については、エントリー数に関わらず概ね高い結果となった。

2.就職活動に関する情報の入手先を教えてください(複数選択可)

「就職情報サイト」を利用して情報収集を行う学生が圧倒的に多く、次いで「各企業のホームページ(採用サイト)」を活用する学生も過半数を超えていた。学生に情報を届けるためには、就職情報サイトの活用だけではなく、自社のホームページでのコンテンツ発信もより一層必要となっている。また2023年卒者と比較すると「就職情報会社主催のイベント」から情報を得る学生の割合が増加し、大規模イベントの実施ができなかった新型コロナウイルスによる就職活動への影響が限定的となっていることが考えられる。

さらに、「大学のキャリアセンター(ガイダンス含む)」と回答した学生の割合が、25%(2023年卒者)から、32%(2024年卒者)と増加していることも分かった。コロナ禍において大学でのオンライン授業が浸透した影響もあり、やや存在感が薄くなった大学における就職支援だが、その重要性が増していることが窺える。今後の新卒採用においては、自社にあった就職情報サイトや自社ホームページでの学生に向けた情報発信のほかに、採用ターゲットとしている学校とのコネクションもポイントとなると考えられる。

3.新型コロナウイルスの影響で、当初想像していた就職活動に影響がありましたか。

2024年卒者では、「とても影響があった」または「影響があった」と回答した割合が全体の40%を下回り、多くの学生が「(新型コロナウイルスは就職活動に)あまり影響はなかった」と感じていたことがわかった。世間的にもコロナ禍は落ち着いたが、遠隔地にいる学生にとってはオンライン説明会やオンライン面接は様々な面でメリットがあり、今後も対面とオンラインの双方を活用するハイブリッド対応が求められている。企業は、効果的なコミュニケーションの場にするために、オンラインならではの特徴を踏まえたプログラムの設計が必要となっている。今回のアンケート調査において、オンライン特有の“やりづらさ”を感じている意見として、以下が挙げられた。

説明会がzoomなどオンラインでの開催が多く、企業に質問したいときにしづらいと感じた。(新型コロナウイルスの影響で、当初想像していたこれまでの就職活動に影響がありましたか。:あまり影響はなかった)

本来であれば、しっかり自分の目で見られる内容がリモートになってしまったため、イメージがつきにくかったこと。(新型コロナウイルスの影響で、当初想像していたこれまでの就職活動に影響がありましたか。:影響があった)

就職で面接の際の大学時代の思い出や経験を話せなかったこと(新型コロナウイルスの影響で、当初想像していたこれまでの就職活動に影響がありましたか。:とても影響があった)

4.就職先を探す際にあなたが1番重視した項目を教えてください。

22卒23卒24卒
これまで学んだことを活かせる仕事内容23%22%34%
職場の雰囲気21%11%12%
職場の所在地10%12%10%
新潟県内の企業11%12%10%
会社のイメージや知名度1%7%7%
会社の規模1%6%5%
給料6%5%5%
福利厚生や支援制度9%3%4%
職場への通勤時間3%11%3%
安定性5%5%2%
フレックス制やリモートワーク、副業など柔軟な働き方1%0%2%
知り合いがいるか0%0%1%
労働時間1%1%1%
SDGsなど環境や社会への配慮2%1%0%
ダイバーシティへの取り組み0%0%0%
その他6%2%3%

過去2年分の調査と比較して、「これまで学んだことを活かせる仕事」であることを重視している学生が大幅に増加している(22卒:23%、23卒:22%、24卒:34%)。この結果は、Z世代の特徴の一つである「自分らしく」という側面がより強く反映された結果だと考えられる。Z世代には「自分に合ったモノ(商品やサービス)を選ぶことが当たり前」という価値観が浸透している点に加え、コロナ禍を経て企業側の採用意欲が回復し、学生の売り手市場が続いていることも影響していると考えられる。企業は採用ホームページや説明会の場で、自社で働くことの魅力や強みだけではなく、学生の「自分らしく」というキーワードに刺さるような情報発信も必要となってきている。以下は、今回のアンケートに寄せられた、学生からのコメントの抜粋。

自分らしく働いていけるかを就活の軸にしていた(エントリーした企業・11~15社/内定を得た企業・1社/就職を決めた企業に・とても満足している)

培ったものが生かせる職場であればやりがいをもって仕事に就くことが出きると考えていたため。(エントリーした企業・1~3社/内定を得た企業1社/就職を決めた企業に・とても満足している)

地元に貢献したかったから(新潟県出身・新潟に就職)(エントリーした企業・1~3社/内定を得た企業・2社/就職を決めた企業に・満足している)

5.一番最初に就職活動に関するイベント(企業が開催するインターンシップや説明会、合同企業説明会など)に参加したのはいつですか?

就職活動の開始時期には4つの波があることがわかった(①「3年生6月より前に開始」、②「3年生8月(夏休み)に開始」、③「3年生12月(冬休み)に開始」、④「3年生3月に開始」)。②「3年生8月(夏休み)に開始」の時点でも、すでに4人に1人が就職活動を開始しており、早期化の傾向がみられる。採用につなげるために、早期段階から学生と接点を持つことが重要になっている。

6.一番最初に「面接」を受けた時期、「内定」を獲得した時期、そして「就活終了」した時期はいつですか?

3年生3月までに面接を受けた割合は36%(1月より前:10%、2月:10%、3月:16%)であり、同時期に内定を獲得している割合は14%(1月より前:3%、2月:3%、3月:7%)だった。しかし、この3月時点で就職活動を終了させた学生は少なく、過半数の学生は、4年生7月ごろまで就職活動を継続していることがわかった。内定獲得後にも就職活動を続ける学生が多く、企業は選考終了後の学生へのフォロー(内定フォロー)も重要となっていると考えられる。

7.内定した企業はいくつありましたか?

 22卒23卒24卒
1社61%53%58%
2社17%24%24%
3社11%14%9%
4社以上10%9%10%

2024年卒者については、1社の内定で就職活動を終えた割合が58%、2社以上の内定を獲得した学生が42%となった。2023年卒者よりも若干複数内定の割合が減少したが、半数近い学生が複数の内定を持ち、そこから一つの就職先を選択している。一方で、1社の内定で就職活動を終えた割合が増加していることから、学生がエントリー企業をより慎重に選択し、選考に進む企業もより焦点を絞って1社1社に集中して就職活動を行っていると考えられる。

8.就職を決めた企業に満足をしていますか?

 22卒23卒24卒
とても満足している43%48%47%
満足している43%41%38%
どちらでもない13%4%10%
不満1%5%2%
とても不満0%2%2%

9.もし、内定先よりももっと良い企業があれば、すぐに転職活動をしようと思いますか?

就職先に対する満足度は、「とても満足している」「満足している」の合計は86%と高い水準にあるが、2023年卒者と比較すると「どちらでもない」がやや増加している。

今後の転職活動に対する意向については、「1〜3年以内にしたい」「時期は決めていないがいつかすると思う」の割合が増加し、入社前から転職意向を持つ学生の割合が過去3年間で最も多くなった。この2つの結果から「就職先には満足しているが、今後もその企業で働き続けることを希望していない」という傾向があることを示している。企業は、若い世代の働くことへの価値観が多様化していることを踏まえて、多様な働き方への対応も求められている(例:フレックスタイム制やテレワーク、兼業・副業等)。

10今後転勤があるとしたら、どのエリアまでなら受け入れますか?(新潟県内で働く人限定回答)

これらの項目の他に、コロナ禍で急速に拡大した「WEB面接」や「録画面接」の経験社数やその賛否、内定後の企業からのフォローの頻度や望ましい内容などについても今回調査を実施している。後日詳細な分析を実施し、レポートを作成予定です。