2020年はコロナの影響で、新しい働き方はもちろん就職・採用活動にまで大きな影響を及ぼしています。しかし、企業の中にはすでにオンライン化を進めていたことで大きな混乱もなく冷静に対応できているところもあり、逆に学生からの支持をより多く集めていることに成功しているようです。企業の採用活動のカギは「時代の流れを掴みながら、中期的な視点で採用活動をどう位置づけているか」にあるようです。

弊社モザイクワークでは、採用カンファレンスを今年の1月に開催しましたが、ここまでコロナの影響が大きくなるとは想像もつかず、急激に社会が変化している状況を踏まえ、急遽この11月に「採用カンファレンス2020in新潟・富山」を開催することを決めました。新潟市の朱鷺メッセを会場に、パネリストの方にはオンラインでもご登壇いただいたり、カンファレンスの様子をオンラインで配信し、富山の方にも多くご参加いただくことができました。

第1部は、基調講演として神戸大学大学院の服部泰宏氏にオンラインで登壇していただき「採用の戦略、思考法、トレンド」についてお話をいただきました。第2部は服部氏に加え、ニトリホールディングスの永島寛之氏、採用コンサルタントの谷出正直氏、そして弊社モザイクワークの代表杉浦二郎がモデレーターとして「マーケティングを活用した採用戦略の構築を目指す」と題したディスカッションを行いました。

企業も学生も大きな変化が見られる2020年ですが、今後企業はどんなことにフォーカスして活動すべきなのか、ヒント満載のカンファレンスとなりましたので、そのようすをレポートしたいと思います。

『採用カンファレンス2020in新潟・富山』
日時:11月13日(金)
場所:朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター3F(オンラインにて富山に同時配信)
登壇者:
 服部泰宏氏(神戸大学大学院経営学科研究科 准教授/採用学研究所 客員研究員)
 永島寛之氏(株式会社ニトリホールディングス 組織開発室室長)
 谷出正直氏(採用コンサルタント/採用アナリスト)
 杉浦二郎(株式会社モザイクワーク 代表取締役社長)


ー第1部 基調講演ー
「採用の戦略、思考法、トレンド」

服部泰宏氏(神戸大学大学院経営学科研究科 准教授/採用学研究所 客員研究員)

まずは、「採用学」の提唱者で神戸大学大学院で経営学を教えていらっしゃる服部泰宏先生より『採用の戦略、思考法、トレンド』と題して、従来の就職活動の課題と、今後の採用活動に求められていることをお話しいただきました。

「求人におけるギャップを解消するリアリズム採用」
まずは採用の話から。これまで採用活動といえば、ポジティブなメッセージを発信し、多く募集を集めることがスタンダードでしたが、それでは現実とのギャップによりミスマッチが起きてしまっていました。これを解決する方法のひとつが「リアリズム採用」です。現実的なメッセージを発信することで、募集数は若干減るもののギャップによる退職者を減らすことで、結果的に効果的な採用ができるというものです。

例として、100年前のイギリスで新聞広告に出された「南極探検隊募集」の新聞広告があります。「わずかな報酬、極寒地での勤務、命の保障は無いこと、成功したら栄誉と称賛」という、求人広告としては魅力的には見えない内容でしたが話題となり5,000人もの応募が殺到しました。悪条件ばかり書かれていますが、それらを納得した人、現実に落胆することない人からの応募を集めることができたという成功例です。
つづいてもう1つの例として、株式会社メルカリの求人広告。日本経済新聞に掲載された「世界にはみ出す人求む」という広告です。ターゲティングが非常に明確で、日本経済新聞を読んでいる意識の高い人の中で、かつ世界に出たい願望を持つ人、という人材像の設定にあった媒体選びと広告の表現がとても素晴らしいです。

「実は相関関係がない?面接と入社後のスキル」
次に選抜の話です。本人のパーソナリティ(Personality)を見るのに面接という方法だけでは、環境や状況(Environment)が影響しすぎて、本来の個性や思考を見ることは難しく入社後のスキルを計るには不十分だという話です。(※ここで心理学者クルト・レヴィンの「行動=個性×特定の環境」という説を紹介)緊張した面接部屋で一問一答に上手に答えられるか否かは、実際の仕事のスキルを計るのにどれだけ有効なのでしょう?もっと「こういう面接で良いのか?」と見直すことが大切です。具体的なシチュエーションを想定した質問や、ワークサンプルテストを導入して、現場に近い環境をセッティングした上で見てあげることが、企業にとっても応募者にとってもメリットがあるのではないでしょうか?

「優秀さはどうやって計るか?」
では次に、選抜の評価軸をどう設定するのかという話です。企業が求める要素として、コミュニケーション能力、協調性、主体性、さまざまありますが、それらはどうやって計るべきでしょう?直接的に聞き出そうと質問しても難しいわけで、そこで効果的なのは「因数分解」することです。たとえばクリエイティビティ(創造性)を例に考えてみると『ロジカルな思考力/クリティカルな思考力/ラテラルな思考力』という3つの構成要素に分解できます。これらを『シチュエーション問題』などを使って質問します。例えば『あなたは地域の空港建設に反対しているが、あなた自身は飛行機を利用する生活を送っている。これをどう説明するか?』『始業5分前、会社の玄関に来たところでパジャマであることに気づいたあなたはどうする?』といった質問です。人と似た平均的な回答をする人、人の上をいく回答を出す少数派など、その人の創造性を見ることができるはずです。

「COVID-19が起きた。オフラインには根拠が必要になった」
COVID-19(※以下、コロナと表記)が起き、オンラインコミュニケーションが一気に普及し、そして人々は、オンラインコミュニケーションでも対面(オフライン)とそう変わらないパフォーマンスを維持できていることに気づいてしまいました。この事実は、就職活動における地方と都会の格差をなくす追い風になっています。しかし、対面コミュニケーションには、一見ムダと思われることの中からも情報を得ることができ(入室する際の仕草や、雰囲気、前後のコミュニケーションなど)面接する側は対面のほうが納得感があります。

「オンラインを希望する応募者、対面を希望する企業側」とわかりやすく表現しましたが、実はそんなに単純なものではありません。オンラインが主流になることで、逆に対面がプレミア化するというメリットも生まれるからです(意識的に作ることができるとも言えます)。ひと括りにどちらが誰にメリットがあるとは言えないのです。重要なのは、対面であるか否かではなく、そこにきちんとした理由があるか、企業としてのロジックがあり、それを示せているかどうかです。たとえば、企業の大切にしている価値観や文化があって、それを伝えるためには対面が必要であるとか、そうした根拠による手段の選択がデザインされているかどうかが重要なのです。
これがコロナによる変化の中で、よりいっそう、企業が持つべき、示すべき、大切な視点だと思います。
私からの話は以上です。ご静聴ありがとうございました。

いくつかの実例を交えながら、マーケティング的な視点での採用活動についてのお話もあり、非常に納得感のあるお話をしていただきました。これまでの「面接」を見直してみたことはありますか?オンラインを導入するさいにきちんとした理由はありますか?受講されている方の中にもハッとさせられた方がいらっしゃったんじゃないでしょうか。服部先生、ありがとうございました。
続いて第2部のパネルディスカッションに続きます。


ー第2部 パネルディスカッションー
「マーケティングを活用した採用戦略の構築を目指す~」

(パネリスト)
服部泰宏氏(神戸大学大学院経営学科研究科 准教授/採用学研究所 客員研究員)
永島寛之氏(株式会社ニトリホールディングス 組織開発室室長)
谷出正直氏(採用コンサルタント/採用アナリスト)
(モデレーター)
杉浦二郎(株式会社モザイクワーク 代表取締役社長)

つづいて第2部では、引き続き神戸大学大学院の服部先生にオンラインで登壇いただき、㈱ニトリホールディングスの永島寛之氏、採用アナリストの谷出正直氏、モデレータとして弊社モザイクワーク代表の杉浦二郎が参加して、「マーケティングを活用した採用戦略の構築を目指す」というテーマでディスカッションを行いました。
(以下:敬称略)

ーーーまずは、ニトリホールディングスの永島氏さん。採用についてのスタンスを教えてください。(杉浦)

永島:大事にしているのは「個人の成長が組織の成長に繋がり、そして社会課題を解決していくこと」です。私はマーケティング出身なのでドラッガーの「経営論」に立ち返って考えることがありますが、人事にとって顧客は誰か?それは「社員と求職者である」と考えています。人事の仕事とは「社員の入社から退職するまで、なんらかの課題を解決すること」であり、デザインしていくことだと考えています。「採用とはなにか?」それは学生の価値観を発見し、学生の志が企業の方針とマッチングするかを見ることだと考えています。採用活動は2つのフェーズで考えています。第1フェーズは「インターンシップ」で、学生の埋もれている価値観を一緒に見つけていく時期。第2フェーズが「選考」で、将来どんな課題を解決していきたいのか?この会社で実現出来るのか?を一緒に考えてあげる。これが採用活動だと考えています。

ーーーニトリは就活サイト「キャリタス就活」「楽天みん就」のインターンシップ人気企業ランキングで2年連続1位という輝かしい結果を出しています。そのエッセンスを少しご紹介いただけますか。(杉浦)

採用活動の中心はインターンシップ
永島:応募者が一体どこから来ているのか、色々分析した結果分かったことは、1つはインターンシップで満足した人が多く応募してきているということ。もう1つは、そうした人(インターンシップで満足した人)が友人あるいは後輩に会社を口コミで勧めてくれていて次年度の母集団を形成してくれていることが分かりました。だからニトリではインターンシップの満足に力を入れるようになりました。インターンシップの時期というのはまだまだ発想が自由で、就活が本格スタートして現実的な制約や条件によって会社を絞り込むよりもだいぶ前の段階なんです。自由な感受性で「仕事体験」を受け止めてくれるから、この時期は純粋に仕事の楽しさややりがいを感じてくれる非常に大事な時期なのです。

その他のポイントとしては、
・インターンシップは、就活系の不安を取り除く社会活動だと思って取り組んでいる。
・インターンシップで広告づくりの楽しさを見つけて広告業界に行ってしまうこともあるが、OK!
・ネットを活用しようとするとつい「1対多」になるが、「1対1」「1対スモール」に力を入れている。
・専属リクルーターを2年毎に配置。ノウハウは残らないがフットワークが軽い。(youtubeを実現など)
・外部環境に影響されない採用スキームを構築する。
・ひっかけずに、キッカケを作ろうというスローガンで取り組んでいる。

ーーー続いて、採用コンサルタントの谷出さん。さまざまなメディアでお見かけしますが自己紹介を。

谷出正直氏(採用コンサルタント 採用アナリスト)
谷出:求人広告の会社でサラリーマンを10年以上やって、その後、フリーランスになりました。企業/大学/採用支援の会社/メディアなど、約2600名とのネットワークがあって、そのつながりの中でコンサルタントとして企業の採用活動の相談に乗ったり、大学でガイダンスを行ったり、キャリアセンターの相談に乗ったり、メディア対応をしたりしています。

ーーーQ.「地方」と「首都圏」、採用という軸で考えた時に違いはありますか?(杉浦)

谷出:学生の動きについて言えば、ここ数年で地域と首都圏の差はなくなっているという印象です。これまでは第1波として首都圏の企業が動き出し、第2波として地方の企業が動き始めていました。しかし、ここ数年で都市部の企業が、地方に出向いて採用活動を行うようになりました。そのきっかけになっているのは、インターンシップです。それに合わせるように地元企業もインターンシップを実施し、早くから動き出すようになりました。ましてや今年は首都圏の大学に通っている大学生も、今、実家のある地方にいてオンラインで授業を受講していたり、ますます地域の垣根は無くなっています。オンライン、テレワークが進む流れは、U・Iターン就職の希望者が増える後押しにもなっていますね。

永島:オンラインか対面かの話をすると、会社としては地方の学生には対面で会いたい気持ちがありますが、それよりも(マーケティング的観点で顧客=求職者と考えると)学生のニーズや動向に対応することが優先事項なのでハイブリッドな体制をとりつつ、今はオンラインがメインとなっているのが現状です。

服部:私自身の勤務地が横浜から神戸になって、学生から直接声を聞いている感想ですが、学生が以前より企業をじっくり厳選している感じがあります、複合的な理由だとは思いますけど。あと、安心を持っておきたい現れなのでしょうけど、ひと足早い時期にベンチャー企業の内定を押さえておいて、それ以上の企業が出てきたらそれも受けるという感じです。

杉浦:オンラインによって、企業と求職者ともにコストを抑えらるようになりました。移動しなくてもよいし、オンラインですぐ繋がるし、学生も応募がしやすく企業も会いやすい、というように。でも、逆に私が感じることとして、学生が慎重に企業を選ぶようになっていると感じていますが、そこで次の質問です。

ーーーQ. コロナの影響で大きく変わったことはどんなことだと思いますか?(杉浦)

谷出:採用活動の時期とインターンシップの位置づけが大きく変わりましたね。従来「景気と採用活動の開始時期」の関係で言えば、景気が良く、売り手市場なら採用活動は早まり、景気が悪く、買い手市場なら採用活動は遅れていくというのがセオリーでした。売り手市場が続いてきたここ5~6年は徐々にエントリーが減り続けてきた傾向がありました。しかし、コロナで経済状況が収縮し、有効求人倍率は下がり、売り手市場ではくなって「就職できるのかどうかの不安」を3年生が早くも感じている。買い手市場なら採用活動が遅くなるわけですが待っていられない。代わりにインターンシップの応募が増えました。それは就業体験としてではなく、もう会社説明会のように企業を調査する手段としてです。オンライン参加が可能な企業も増えたので一層参加者が増えました。つまり、インターンシップを採用活動に代わるものとして位置づけて積極的に動く企業が増えてきたということです。従来のつもりで、インターンシップは余裕がないから募集しない、採用活動の時期が解禁になったら動く、とやっていると、うまくいかないかもしれません。

ーーーQ. 学生から企業への質問が「採用」に関して多かったものが「入社後のやりがい」のようなものに変化しているとか、学生の関心事項についての傾向は何か感じていますか?(杉浦)

永島:質問の内容は変わってきたと思います。なぜなら情報源が変わってきたから。これまで先輩からの経験談などリアルな情報が主流だったのが、ここ数年でネット、特にSNSで情報が手に入りやすくなったので、情報収集は十分にしていますが代わりに「それは本当ですか?」という質問が増えました(笑)。手に入る情報の真偽を確認しているようです。だから逆に企業が気をつけるべきは、リアルな情報発信でないと企業を信用してもらえない、という怖さがあります。なので、オウンドメディアで登場している社員が説明会にも登場したり、日常的に発信している内容と採用活動で発信するメッセージに相違が出ないように意識しています。

ーーーQ. なぜ対面なのかオンラインなのか、その理由を企業側がきちんと説明する手間が増えました。昔はオンライン面接のほうが軽く見られているように思いますが、この違いってなんでしょうか?(杉浦)

服部:ここ5~6年で、学生が企業を評価する軸が変わってきたことが原因かと思います。
評価軸の1つは「能力」が高いかどうか。事業内容や組織などです。ここにコロナ対応の説明能力も加わるようになりました。なぜオンラインなのか、なぜ対面なのかをロジックをもって説明できているかです。そしてもう1つは企業の人格です。信頼できるのか、話を聞いてくれるのか、嘘が無い会社か。責任を持って理由を説明してくれるかどうか、会社の人格を判断する材料になっています。

コロナに対応する企業の対応を見ながら、自分が入社した後の姿(人材の扱われ方)を投影しながら聞いているのだろうと思います。今日はマーケティング観点から考えるのがテーマなので、学生ニーズという点で考えていきましょう。
ーーーQ. ニトリは内定者懇親会のメニューにまでこだわっているとか?

永島:はい。コロナ対応含め、学生が会社を逆評価するようになってきました。ですから細部までこだわって、企業文化を投影するようにしています。例えば内定者懇親会では、提供するメニュー選びからボリュームに至るまで、社長から承認をもらっています。学生から物足りなかったなんて言われた日には…(笑)。これは店舗で欠品があってはいけないというお客様サービスの考え方を、細部にまで浸透させているからです。求職者、内定者もお客様だと考えればお客様と同じように対応するのが企業文化だろうという判断です。

谷出:ニトリさんが凄いのは今の例のように、就職活動とは何か、インターンシップとはなんのためか、その理由やロジックがしっかりしていることですよね。会社が考える「いい会社」とはなにか?学生自身がそれを考えて探りに来るのが就職活動です。だから会社側が答えられないといけないし、答えられない限り、いい会社だと思ってもらうことはできない。私が提唱しているのは、「マインド(価値観)」「ビジョン(将来像)「スキル(能力)」これが一致することがあなたにとって良い会社であると言っています。
理由を伝える大切さでいうと、なぜオンラインでやるのかもです。学生はニュースやトレンドに流されるものです。在宅ワークのニュースを見てれいればそれが良いものだと思い込んでしまう。しかし、在宅ワークではなく対面でやる理由を会社が説明してそれに共感してもらえれば、その人にとっていい会社ということになります。人生の価値観は人それぞれです。会社の価値観もそれぞれ。伝えることが求められています。そうでないとズレたまま入社して、なんか違うなとなってしまう。判断できるように伝える必要があるわけです。

永島:谷出さんが言われた、会社の中にあるものを伝えることが大事という話ですが、結構難しいですよね。なぜなら完璧な会社って無いから。しかしあまりに金ピカな理想の話ばかりするわけにはいかない。ならばどうするか?学生が会社に求めるものとして「成長環境」を挙げる人は多いですが、この成長願望を利用して、学生が会社に求めるものに会社が合わせていくという方もひとつかもしれません。マーケティング的な発想ですが、いいサイクルになる面もありそうです。

谷出:今はまだ小さい会社で提示する十分なものがないのなら、5年先10年先の未来を掲げる。それに向かってどんな計画を今、実行しているかを話せばいいんです。そのビジョンと計画に共感できれば、大企業を蹴って入ってくれることは十分あります。そして一緒に会社を成長させる。

杉浦:高い理想を掲げると現実とのギャップを感じてしまいますが、このリアリティショックは、意外にも使い方によっては高いモチベーションに変換することできるんですよね。そこにギャップがあるからこそ達成させようと燃える社員もいるし、自分が入社した使命を再認識する社員もいる。私は実際に前職で、このリアリティショックを意識的にデザインすることで、高いパフォーマンスを発揮した社員を何人も見てきました。リアリティショックは使い方次第で原動力に変えることも可能なんです。

永島:ニトリは現在の売上6,000億円ですが、2030年に3兆円という大きな金額を提げています。当然、到達するまでの大きな計画を伝えないといけないわけですが、学生に「君ならどうする?」と言って一緒に話すことにしています。話しながらワクワクして気づけば仲間の一員になっている、ということがありますね。

杉浦:ディスカッションの最後に、「HOW(どうやって)」の部分を私から少しご紹介します。今日は、会社の目指すところや考えていることを学生に伝えることが大切、という話をしてきましたが「どうやって伝えるか?」という接点のところの話を少し。
時代の流れとともに学生と企業との接点は変化しています。マス媒体や合同説明会が主流だった時代から、少人数イベント、逆求人やダイレクトリクルーティングの時代へと変化しています。そしてコロナの影響があって、もう少し先だと思われていたwebマーケティングを使ったリクルーティングがとても効果的になってきました。とくにSNSは発信ツールという面だけでなく、反応があったユーザーに対してはシームレスにメッセージツールとしても使えるのでピンポイントなマイクロリクルーティングが可能になってきます。実際、私の会社でも力を入れ始めたばかりのyoutubeや、twitterを経由してアプローチしてくる学生も増えました。SNSを活用したリクルーティングは大きなコストを必要としないので、採用人数の少ない、体力のない地方企業こそ、SNSを使った手法がより効果的になってくると思われます。

ーーー最後に、それぞれみなさんから一言まとめやエールなどをお願いします。(杉浦)

永島:こういう場に登壇して話をすると、それって大きいニトリだからでしょ?と言われることがありますが、そうではないと思います。活用ツールがwebになってきて、地方と首都圏はシームレスになってきたし、地方の魅力に学生も気づいてきています。首都圏や地方とか、採用人数とかは関係なく、積極的にオウンドメディアなど色々なツールを使って発信してくと良いと思います。

谷出:ひとことで言うなら「出会いを大切に」です。採用する人数よりも採用しない学生のほうが多いはずですよね。採用しなかった学生への印象が良ければ、今後の影響も大きく返ってくるはずです。先輩から後輩への口コミで来年の募集が増えたり、いつか転職でまた来たり、あるいは顧客になったり。だから採用のための活動だけでなく、出会う学生にとって役立つ話をする、役立つ機会にするという意識で関わってほしいと思います。

服部:今日のテーマ、マーティングに立ち返るなら「1.せっかく作ったよいものを、2.うまく売りましょう」ということでしょうか。採用に置き換えるなら、企業の価値観やマインド、組織などうまく作ったものを、きちんと言語化して見せていきましょうということです。それと必要なのは「想像力」です。今どきの学生って?地方の学生って?どんな疑問不安を抱いているんだろうか?と想像すること。現場に関心を持って、足を運んで、若い人たちを取り込みながら戦力化していく、そうしたことが大切だと思います。

今回のカンファレンス、いかがだったでしょうか。インターンシップの重要性、根拠を説明することの意味、地方と都会がシームレスになっていること、そして学生一人ひとりに向き合うことの大切さなど、これから企業がやるべき行動のヒントをたくさんもらうことが出来ました。株式会社モザイクワークではクライアントのサポート事業と並行して、今後もイベントやサービスを企画していく予定です。また皆さんにお会いできることを楽しみにしております。