今、労働市場がめまぐるしく変化し、「働き方改革」は、人々へ生き方や価値観そのものに対する問いを投げかけているようにも思います。就社という考え方は、既に過去のものとなり、より自分らしい生き方、働き方を模索し探求する時代に入ったと言えるのではないでしょうか。

そのような中、新卒採用市場もご多分に漏れず、ここ数年での変化が著しいのは周知の通りです。もはや採用手法のテンプレート(= 王道パターン)は存在せず、企業側 / 学生側双方に模索しながら、活動を行なっているというのが実情ではないでしょうか。

2019年10月1日時点の就活状況で見ると、就職内定辞退率は65.6%(就職みらい研究所 調べ)という、昨年とほぼ同水準という結果も出ています。
上記の結果からも、やはり、企業としては、より主体的な行動が、今後ますます求められることになるのではないでしょうか。
そのような採用市場において、”攻めの採用”と言われる「ダイレクトリクルーティング」といった採用手法が急速に普及しています。

モザイクワークが掲げている採用手法にも、そもそも「母集団形成」という概念がなく、可能な限り1対1に近い形での企業と応募者とのマッチングを推奨しています。
なぜなら、深い企業理解や共感度の高い学生に対して、集中して丁寧なコミュニケーションを重ねることで、より「入社したい」という意欲を醸成することが可能となり、辞退が生じにくい結果に繋がると考えるからです。
また、採用担当者や、学生双方にとっても、お互いに無駄な工数やコストを減らすことができる、というメリットも考えられます。

なぜ今、ダイレクトリクルーティングなのでしょうか?
そこにはどのような勝ち筋があるのでしょうか?

先日、弊社の平松もパネラーとして登壇した、ダイレクトリクルーティングサービスOfferBoxを提供する株式会社i-plug主催イベント「ぼくらがオファーを送る理由」の中で、語られたことを、2社の事例も交え、お伝えしたいと思います。

【パネラー】
・日本マイクロソフト株式会社 アクセノフ ユージン氏(人事本部 採用グループ 新卒採用マネージャー)
・株式会社スカイネクスト 山下 貴生氏(取締役 システム開発部部長)
・株式会社モザイクワーク  平松 しのぶ(マイクロリクルーティング事業部 部長)
【コーディネーター】
・株式会社i-plug  直木 英訓氏(取締役COO)

そもそも御社で新卒採用、やりますか?

モザイクワークが新卒採用ご支援をさせてもらう際、最初に確認させてもらうのは、ともすると一見拍子抜けしてしまいそうな、しかしながら非常に重要な根底部分に対する問いです。

担当者の中には、採用人数を獲得すること自体が、いつのまにか目的になってしまっているケースもあるのではないでしょうか? 目の前の目標達成に注力するあまり、本来事業を見据えた上での新卒採用だという目的がいつのまにか脇においやられてしまったり、切り離されてしまう。

”なぜ新卒採用をするのか?” そこを徹底的に腹落ちさせて、企業側、学生側双方がアンハッピーにならない結果につなげることが大切だと言えます。

ここで、株式会社スカイネスクト様の事例を紹介します。
以前は中途採用を行なっていたが、新卒採用に踏み切ったのは主に2つの理由があったそう。
1つには、中途採用者が採りにくくなってきたことと、もう1つは、中途採用者がそもそも会社へのエンゲージメントが低かったということ。 次のステージに進むためには、共に会社を作っていってくれる仲間が欲しいと思い、新卒採用を行うことにしたそうです。

次に紹介するのが、日本マイクロソフト株式会社様。
同社は、「採用は選考じゃなく育成」という考えで採用活動を行なっている、とのこと。 入社後の活躍イメージまで見据えて、選考段階から仲間意識を醸成させ、最終選考者には、内定を獲得できるくらいの技術力をつけてもらうところまで、行なっているそうです。

2社とも、新卒採用を行う目的、入社後のイメージまでをハッキリと描き切っているのが特徴的でした。

ダイレクトリクルーティングだからこそ伝えられること、会いたい学生に出会える可能性とは?

採用活動とは、企業と応募者とのエンゲージメント(絆 / 約束)です。

“我々の理念はこうだ。そこに対しては、こういう人が必要だ。
またそこに共感してくれた人に対して自分たちが提供できることはこういうことだ。”

そういった採用ポリシーを、とことんまで研ぎ澄ませメッセージとして伝えることで、そこに共感し、約束を果たせそうだと感じられた方が応募してくるようにすることで、双方のマッチング(固い絆)が成立するのです。

「本当に納得し入社してもらうために、自分たちの強みだけじゃなく、弱みや課題についても正直に語りました。それでも、君がうちの会社に入ったら、徹底的に僕が面倒みる、どこの会社でも通用するくらいのエンジニアに育ててみせる、と本気で伝えました」

そのように、本当に欲しい人材に対して、真摯に向き合い熱意を伝えた山下氏。
時に一人の面談時間に5時間を費やすこともあったそう。
そのような手厚い手法で、2020年度新卒採用時は、オファー送信数25通のうち5名の内定承諾というOfferBox利用企業の中でも脅威的な結果につながったそうです。

自社が本当に採用したいと思える学生にだけ、徹底的に向き合って欲しい、そのためにこそ、労力やコストを費やして欲しい、ということをモザイクワークでも、常に発信し続けています。

「ナビ媒体から発信されること、ダイレクトリクルーティングで個々人へ伝えられることは、全く違うんです。ダイレクトリクルーティングでは、個人個人に合わせてメッセージを届けることができます。
媒体の特性を考え、届けたいことを踏まえて、最適な方法を取り入れたら良いと思います。
そのために、逆に”やらないことを決める”という覚悟も大事です。(平松)」

新卒採用で大事なことは、全体最適じゃなく個別最適

学生が、内定を決められない理由には、「自分のどこを評価してくれたのか」「何を求められているのだろうか」という不安な気持ちが解消されない、という事実もあります。

「学生は、どんな風に自分を認めてもらえたか、承認してもらえたか、ということが最終的な内定承諾につながりやすいケースが多いです。なので、広く集めて落とすことは基本やめましょう、と支援させていただく際、ご担当社にお願いしているケースは多いです。応募者を多数落とすことで、かえってその企業のファンを減らしてしまうことに繋がりかねないんです(平松)」

自分に対して向きあってくれてる、しっかりあなたのことを見ているよ、と思わせることが何より大事で、どういうところを見てもらったのか、どういう人たちの中で自分はキャリアを積んでいくのかと描けるかで、学生は、内定を決めるケースが多いのは事実と、伝えていました。

就活手法やツールが多様化、複雑化している新卒採用市場。
これまで「とりあえず大手ナビ媒体に登録する」という常識も、もはや崩れ始めました。
今後は自社にとっての活躍人材を明確にし、その人材に会うための最適な手法を徹底的に考え、入社後まで見据えたエンゲージメントの創出に労力をかけてもらいたいと思います。

文:門脇 麗佳(mosaicwork Inc.)

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